
急に大量の髪が抜け落ちてしまう円形脱毛症。円形脱毛症は大人だけでなく子供も発症する可能性のある病気です。
また円形脱毛症には五つのタイプがあり、完治するまでの期間がそれぞれ違います。完治に向けた対策上の注意点など、こちらで確認をしておきましょう。
目次
「円形脱毛症」は脱毛が突然あらわれる病気
円形脱毛症は、頭皮の髪の毛が円形またはまだらに抜け落ちる病気です。頭のあらゆる部分に発症し、脱毛部の大きさは豆粒大のものから頭の全体に広がるものまで様々。
そして円形脱毛症の発症率は、人口の0.1%と推定されており年代や男女差はありません。
円形脱毛症の主な原因は「自己免疫疾患」である
円形脱毛症が起きる主な原因は、自己免疫疾患、ストレス、遺伝、ホルモンバランスの乱れ、アトピー性皮膚炎などがあげられます。
一般的にはストレスが原因で発症するイメージがあると思いますが、円形脱毛症はストレスが少ないと思われる新生児にも発症するため、ストレスが直接的な原因ではなく脱毛を起こす要素の一つとして考えられています。
円形脱毛症の原因は明確にはなっていませんが、現在、最も有力な説が自己免疫疾患です。自己免疫疾患は、体の免疫システムのエラーで健康な細胞や組織を破壊して脱毛を招きます。
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円形脱毛症5タイプ別の特徴と完治までの期間

前述で、円形脱毛症とはどのようなものかについて触れてきましたが、実は円形脱毛症には5つのタイプがあり、完治する期間はそれぞれのタイプで異なります。下記で1つ1つ確認をしていきましょう。
- 【単発型】
- 【多発型】
- 【蛇行型】
- 【全頭型】
- 【斑発型】
円形の脱毛が1~数カ所できる脱毛症です。約80%の人が1年以内で自然に治るといわれますが、中には再発を繰り返す人もいます。
円形の脱毛が複数できる脱毛症です。髪の毛が生え始めても別の部位に新たな脱毛が起こることもあり、治療を続けて完治するまでに半年~2年ほどかかります。
後頭部や側頭部の生え際に帯状の脱毛が起こる脱毛症です。完治するには数年かかることがあります。
頭全体に脱毛が広がりほとんどの髪が抜けてしまいます。完治までの治療は長期に渡るケースが多いです。
髪だけでなくまつ毛や眉毛などの全身の体毛が抜け落ちる脱毛症です。円形脱毛症の中で最も重い症状であり、完治までには長期間かかることが多いです。
円形脱毛症の完治を目指す場合、皮膚科で受診を
円形脱毛症の完治を目指す際には皮膚科で受診をするところから始まります。円形脱毛症のタイプが小さな単発型の場合は自然治癒をすることもありますが、円形脱毛症には、病気が隠されている場合もあるため、急に抜け毛の量が増えたときは、専門の医師に診てもらうようにしましょう。
病院では検査で脱毛に関係する病気についても調べたうえで適切に対処をしてもらうことができます。
円形脱毛症は病気として認められているため保険は適応されますが、一部の薬には保険適応外もあるためしっかりと確認をしてから病院へ行くようにしましょう。
医療機関で受ける円形脱毛症の治療方法とは?

円形脱毛症を発症する原因はいくつかわかっているものがあるものの、その仕組み、メカニズムはまだ明確になっていません。そのため根本的な治療方法も解明されておらず、治療には日本皮膚科学会が作成した『日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2010』(2017年5月現在最新版・以下診療ガイドライン)によって対症療法的に脱毛面積や発症してからの期間に応じた治療方法を決定します。
皮膚科で行われる円形脱毛症は重症度に応じた治療が行われる
診療ガイドラインによると、治療方法は症状の重さから見て、大きく分けて二通りの治療方法があります。成人男性(16歳以上)の場合、まず脱毛面積が全体の25%未満か以上かで大枠の診療方法が決定されます。
発症から1カ月~3カ月未満である場合は、重症度を示す指標としてS1未満であると判断され、経過を見ていくことになります。もし円形脱毛症が3カ月以上進行していると確認された場合、具体的な治療に入るとされています。またその際の判断基準として、発症から3~6カ月でかつ切断毛や容易に髪が抜けてしまうことが医学的に確認された場合を進行期、発症から6カ月以上経過しており、拡大傾向も切断毛も見られない場合を症状固定と診断し、これにより治療方法も変わってきます。
重症度の指標(頭部のみ) | |
---|---|
S0 | 脱毛がみられない |
S1 | 脱毛巣が頭部全体の25%未満 |
S2 | 脱毛巣が25~49% |
S3 | 脱毛巣が50~74% |
S4 | 脱毛巣が75~99% |
S5 | 100%(全頭)脱毛 |
参考文献:日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2010
円形脱毛症の治療方法の中身は
円形脱毛症の具体的な治療方法には、以下のようなものがあります。先述の通り、円形脱毛症になったからといって下記の治療方法すべてを行うことはありません。皮膚科で治療を行う際、原則として重症度の高さに応じた治療方法がとられます。
- ステロイド局所注射
- 局所免疫療法(SADBE療法)
- 直線偏光近赤外線照射療法(スーパーライザー療)
- 紫外線療法(PUVA療法)
- 冷却療法
診療ガイドラインでは、初診時の症例判定として、S1(脱毛巣が頭部全体の25%未満)で、進行性である場合は、内服・外用療法がとられますが、S1でも症状固定であった場合はステロイド局所注射、局所免疫療法がとられます。
次にS2以上(脱毛巣が頭部全体の25%以上)と診断された場合、進行性であればステロイドパルス療法、ステロイド内服を含む療法がとられ、症状固定であった場合は、局所免疫療法を含む治療が行われます。ただ残念ながら、症状固定後も改善しない場合は経過観察、かつらの着用を進められることもあるそうです。
ステロイド局所注射は進行していない場合が望ましいと言われている
一見、注射による治療は「とにかく効きそうだ!」と思われる方も少なくないと思われます。実際に、重症度がS1以下で症状固定の患者には効果が認められていると、診療ガイドラインでも記述がありますが、皮膚の硬化などが認められるケースもあった他、患部が大きい場合、相当数の注射が必要となるため、そのような場合は他の治療法も検討することが推奨されています。また、このことから子供の治療には慎重な部分もあるようです。
免疫作用に働きかける局所免疫療法
円形脱毛症を招く主な原因は「自己免疫疾患」であることは前述からの説明でおさえられているかと思います。円形脱毛症の中でも完治に時間を要する多発型、全頭型、汎発型には局所免疫療法が多く行われています。局所免疫療法とは、体の免疫システムを利用した治療方法であり、化学試薬を脱毛部に塗って弱いかぶれを起こさせる治療方法です。
かぶれが起きたことで、免疫システムの攻撃対象が毛母細胞から薬の作用に変わり、本来の毛母細胞の働きを取り戻せることで脱毛症が改善してきます。
局所免疫療法のメリットとデメリット
「局所免疫療法」は副作用が少なく、ステロイド治療が受けられない子供でも安心して受けられる治療方法です。内服薬や外服薬では効果の出なかった人にも、発毛が見られることも多く、保険適応外の自己負担でも治療費が比較的安く受けられるメリットもあります。
しかし、局所免疫療法にも欠点もあります。有効率は高く約60%と言われていますが、完治するまでには6カ月~1年以上の時間がかかります。
また、アトピー性皮膚炎がある人は症状を悪化させるデメリットもあるため注意が必要です。
完治をさせるためには生活習慣の徹底的な見直しが必要

円形脱毛症の治療は、病院で受ける薬物療法や処置療法だけではありません。円形脱毛症の回復を助けるための生活習慣の見直しと、頭髪ケアに注意が必要です。生活習慣の改善は円形脱毛症の予防にもつながってきます。
食生活とストレス発散方法の見直し
円形脱毛症の完治を目指す場合、バランスの良い食生活とストレスをため過ぎず十分な睡眠をとることが重要です。ストレスは円形脱毛症を引き起こす直接の原因ではありませんが、ストレスがたまることで自律神経のバランスは乱れて、血流を悪化させることや、不眠を招いたりすることになります。ストレスをためないことは、血流改善につながり毛根に栄養を届けるとともに睡眠中の成長ホルモンの作用で発毛を促進します。食事には、髪の栄養になるタンパク質やビタミンA、C、Eを積極的に取りたいです。
毎日のヘアケアにも意識を
円形脱毛症の治療中は、シャンプーやヘアカラーにも注意が必要です。円形脱毛症になると、抜け毛が怖くてシャンプーを控える人も多いですが、これは他の脱毛症を招くリスクを高めます。治療中は皮脂の汚れやホコリが毛穴をふさがないように毎日シャンプーをする必要があります。
使用するシャンプーは頭皮への刺激が少ないアミノ酸系シャンプーを選びましょう。円形脱毛症の治療中は頭皮に刺激を与えるヘアカラーやパーマは控えたほうが良いですが、もしも悩んだときは医師に相談してみましょう。
円形脱毛症の回復期に見られる頭皮の変化
治療が進むと頭皮に回復の兆候が現れるようになります。初期の段階では、頭皮に痒(かゆ)みを感じるようになりますが、これは、頭皮の血流が盛んになったことでむず痒(がゆ)くなるからです。
改善されてくると産毛が生え始める
この時期から少しずつ産毛が生え始め、ツルツルだった脱毛斑にシワが見えるようになり、皮膚の硬さを取り戻します。生え始めの髪の毛は細く尖(とが)った先端で白髪の場合も多いですが、白髪は毛根の栄養不足やメラノサイトへのダメージからくるものですので、後から黒髪も生えてきて、そこだけが白髪になることはありません。
おわりに
円形脱毛症は、症状が軽いものでは自然治癒をすることもできます。しかし、場合によっては完治までに数年かかることもあり、専門の医療機関での治療が必要になる場合があります。治療の開始が遅くなることや、誤った生活習慣が症状を悪化させることもありますので、円形脱毛症を発症したときは速やかに皮膚科を受診しましょう。治療と組み合わせて生活習慣の見直しをすることが、円形脱毛症の完治をスムーズにさせるポイントです。
ハゲ薄毛研究所編集部
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